修了者の声VOICE OF ALUMNI
修了者からのメッセージ
理想の法曹像?
私は、金沢大学法科大学院を修了後、弁護士となり、金沢市内の法律事務所で勤務しています。
私が弁護士を目指したのは、目の前で困っている人を法的に支援するという弁護士の仕事に魅力を感じていたためであり、社会において自分が重要な存在であると感じられる仕事をしたいというところに根源がありました。
このように言うと抽象的に聞こえると思いますが、弁護士を目指した大学時代は、社会経験もなければ、何らかのバックグラウンドがあって強い情動に駆られたということもなく、この程度の覚束ない動機であったように思います。
しかし、ロースクールに入学後、実務家教員やロースクールに関わる弁護士と触れ合う機会が多くなり、法曹実務についてのイメージが膨らみ具体化されていきました。
特に履修プログラムの中にある「紛争とその法的解決Ⅰ及びⅡ」は、事件分野毎に、詳しい弁護士が各々携わった事件に関してオムニバス形式で講義を行うというものですが、当該事件を扱うことの社会的重要性や、事件処理に際しどのように苦心されたのかを知ることができました。また、ⅠとⅡで合計30回の講義があり、弁護士業務の裾野の広さを感じることができたと思います。
受験期の悩みの一つとしてモチベーションの維持がよくあげられますが、このように複数の弁護士像(ゴール)を知ることで、モチベーションが自然と高められていたと思います。
したがって、私のように目指す法曹像が当初曖昧でも、ロースクール在学中に徐々に定まっていくと思います。
弁護士になってから
石川県内では、特定の分野に専門特化して、同分野のみを取り扱うという法律事務所はほとんどなく、地域住民、地元企業等の相談を広く取り扱っている事務所が多いです。最近ではそのような事務所の中でも、特定の分野に専門性があることを売りにしている事務所が増えてきた印象がありますし、伝手がない市民目線に立つと、このような事務所が利用しやすいのではないかと考えています。
現在、私は一般民事、家事事件、労働事件、債務整理、刑事・少年事件を受任しており、企業や行政からの相談に対応することも多いですが、主として保険会社からの仕事に携わることが多いです。
誰でも不慮の事故により、今後の生活の危機に立たされる被害者となり、他方で多額の賠償責任を負う加害者となって、社会的弱者に陥る可能性があります。保険は、このような日常生活のリスクをカバーするインフラであるため、保険制度の維持向上に関与できる仕事にはやりがいを感じています。
弁護士による支援体制
金沢弁護士会には、金沢大学法科大学院支援委員会という委員会が設置されており、修了生が少しでも早く合格できるように、在学中のみならず修了後も含めてどのような支援ができるかを日々活発に議論し、学生との意見交換会、答案練習会の実施及び勉強合宿の企画等様々な試みを行っています。
また、金沢大学・金沢大学法科大学院出身の法曹により構成された金沢大学法曹会という組織があり、同会に所属する弁護士が月に2回、事前に学生に解いてもらった本試験の過去問の添削及び解説を行なう自習支援を行っています。
合格に必要な基本的知識は、一朝一夕には身に付きませんが、論文式試験の答案の書き方も同様です。また、知識も事案の中で使いこなせなければ会得したことにはなりませんので、事例問題の検討を行い、知識の定着及び精度の向上を図る上で学習会は有用だと思います。何より、本試験の問題は目指すべきゴールであり、自身の学習進度と合格までの距離を確かめる意味でも重要ですので、定期的なアウトプットの機会として自習支援を利用していただきたいと思います。
おわりに
上記のとおり、幅広く事件を取り扱うことに加え、人の人生に関わる以上は、多くの知識情報を得て、絶えずアップデートしていかなければならないと思っています。弁護士として5年目に入った今でもロースクールや司法修習の同期と定期的に勉強会を行っていますが、在学中にこのような同志を得られたことは代え難い財産です。
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