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修了者からのメッセージ

写真 氏名:山下 亮
入学年:平成16年
修了年月:平成19年3月
現在の職種:国家公務員(法務省(総合職)採用)

1.はじめに

 皆さんは今、どのような立場でこのパンフレットを読んでいますか。法科大学院への進学を目指して勉強に励んでいる方、進路先の一つとして考えている方、もしくは、たまたま手に取ってみただけの方もいるかもしれません。
法科大学院の履修期間は、短縮(既修者)コースで2年、標準(未修者)コースで3年と、決して短くはありません。進学を検討するに当たり不安を抱えている方も少なくないと思います。そのような方に向けて、法科大学院で学べることや将来の可能性について、私の経歴を踏まえながら御紹介したいと思います。

2.法科大学院への入学〜在学中

 私は、法科大学院に入学する前には、農学(森林生態学)を専攻しており、毎日土をいじりながら、法学とは無縁の大学生活を送っていました。法科大学院への進学を決めた動機は、当時の専攻とは全く関係がなく、友人が犯罪被害に遭ったことをきっかけとして、犯罪防止に役に立つ仕事に就きたいと考えたことです。法科大学院で実務に即した法律を学び、卒業後は国家公務員として就職するか、検察官を目指そうかと思っていました。
今から思えば稚拙な動機で、また、思慮の浅い将来見通しでしたので、当時は「モラトリアム」だと周囲からからかわれたりもしましたが、紆余曲折を経た後に無事に金沢大学の入学証を手にすることができました。
法科大学院に入学するまでは、法学に関する予備知識が全くありませんでしたので、入学して最初の半年は、初めて聞く法律用語の難解であったことや、当時、未修者コースの入学者の多くが法学部の出身であり、スタート時点で取り残されているのではないかと感じさせられたことなど、先行きについて不安になることが多かったように思います。
そんな私にとって、金沢大学法科大学院のサポート体制は非常に心強いものでした。教員の方々には、基本的な質問にも丁寧に対応していただき、また、同級生とは、毎晩自習室で一緒に勉強しながら議論を交わすなど、物的にも人的にも恵まれ、周囲に支えられた3年間だったように思います。こうした環境を造ることができるのも、金沢大学の少人数制で熱意のある教育体制があってこそ。大規模な法科大学院には絶対に真似のできない魅力といえるでしょう。
また、行政に関心が高かった私にとっては、カリキュラムに刑事政策や公共政策論などの選択科目があったことも良い経験であったと思います。これらの科目を受講した縁もあり、3年次に受験した国家公務員試験に無事に合格、その後、刑事政策をつかさどる法務省から内定をもらうことができました。

3.国家公務員採用後〜現在

 法務省に入省してから7年が経ちましたが、その間携わった仕事は多岐に渡ります。法務省では、所管法令の審査、刑務所の現場での勤務、外国人受刑者の国際移送に関する外国政府との交渉、国際会議の準備・開催などの業務を務めました。また、現在出向している国土交通省では、主にインフラの老朽化対策のとりまとめを担当しています。
めまぐるしく変わる環境や、多様な者との調整、新しい職務への対応をする中では、法科大学院の卒業生であることに対する期待と要求の高さを感じることもあります。しかし、こうした状況でも迷うことなく職務に励むことができているのは、法科大学院での全ての経験が今の私を支えているからだと感じています。法科大学院で学んだこと、それは、決して試験に必要な法律の知識だけではありません。
学界や業界の常識や通説を鵜呑みにするのではなく、なぜそうなっているのか、その考え方に問題点はないのかを繰り返し咀しゃくすること、目の前に起こっている事象だけにとらわれず、文字で書かれた法律や施策が世界と繋がっていることを意識して最善の解決策を見つけること、熟考した出した答えを自分の言葉で的確に相手に伝えることなど、金沢大学法科大学院に在籍した3年間で繰り返した、「常に自分の頭で考え、理解し、表現すること」を通じて学んだことが、今の私の誇りであり、自信となっています。また、これらはきっと、国家公務員や法曹としてだけではなく、幅広い職種でリーダーとして成長していく上でとても重要な姿勢なのだと感じています。

4.終わりに-これから法科大学院を目指す皆さんへ-

 金沢大学法科大学院での2年間・3年間は、皆さんが目指す将来に必要な能力を磨く機会を与えてくれるでしょう。環境は整っています。その思いを実現させるには、後は皆さんの熱意と努力だけです。
金沢大学法科大学院に入学した皆さんが、将来、法曹界をはじめとした様々なフィールドで活躍することを期待しています。