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修了者からのメッセージ

写真 氏名:犬塚 雅文
入学年:平成18年
修了年月:平成20年3月
現在の職種:弁護士、金沢大学人間社会学域非常勤講師

法科大学院に入学するまでの経歴

 私は,2001年3月に金沢大学を卒業し,5年後の2006年4月に金沢大学法科大学院に入学しました。その間,社会保険労務士事務所と司法書士事務所で働きました。
 社会保険労務士事務所での仕事は社会保険,年金,人事労務管理など幅広いものでした。私は,社会保険労務士の資格をもっていたわけでもなく,知識も十分ではなかったので,毎日が勉強でした。人事労務管理の仕事を通じて,労使の信頼関係が大切であることを学びました。また,労使間のトラブルは,深刻な状況になる前に迅速かつ丁寧に対応することが重要であることを実感しました。司法試験の選択科目を労働法にしたのは,社会保険労務士事務所での経験があったからです。現在,弁護士として労使紛争の相談を受けることもありますが,その経験がとても役に立っています。
 司法書士事務所では,司法書士として不動産登記や商業登記などの登記業務を中心に行っていました。認定司法書士になると,簡易裁判所が扱う事件(請求金額が140万円以下の一般民事事件)の代理権が与えられますので,一定の範囲で裁判業務を行うこともできました。しかし,請求金額が140万円を超えると代理権はありませんし,上訴事件,家事事件,刑事事件の代理権もありません。
 例えば,相続人間で遺産分割協議に争いがある場合,家庭裁判所の調停や審判などで遺産分割の内容を決めない限り,不動産の相続登記はできません。司法書士には家事事件の代理権はありませんので,相談者自身に調停申立をしてもらうか,弁護士に依頼するしかありません。私も,実際に弁護士の法律相談を案内したり,直接弁護士を紹介したりしたこともありました。相談者の中には,司法書士と弁護士の違いを明確に認識されていない方もいますし,弁護士は敷居が高くて相談しにくいと思っておられる方もいます。せっかく私のところに相談に来てもらったのに,役に立つことができず悔しい思いをしたこともありました。そのような悔しい思いが法曹を目指す原動力になったのだと思います。
 私は,仕事をしながら司法試験の受験勉強をすることにしました。いわゆる旧司法試験を2回受験しましたが,2回とも択一試験で不合格となりました。仕事と受験勉強の両立は厳しく,勉強時間が不足していました。何度も挫折しそうになりましたが,司法試験を諦めることはできませんでした。司法試験に合格するためには法科大学院で法律を基礎から学びなおす必要があと思い,法科大学院の入学を決意しました。

法科大学院を終了してからの経歴

 私は,法科大学院を卒業した2008年に司法試験に合格し,その後,約1年間の司法修習を終え,2009年12月に弁護士登録をしました。現在,弁護士5年目です。敷居の低い弁護士を目指し,民事事件,家事事件,行政事件,刑事事件など幅広い分野を扱うよう心がけています。刑事事件では,一部無罪判決(自動車運転過失傷害)を勝ち取ったこともあります。社会保険労務士事務所と司法書士事務所での経験をいかして,今後は特に,労働事件や家事事件(相続・離婚)などに力を入れていきたいと思います。
 私は,金沢弁護士会に所属しています。私以外にも多数の卒業生が北陸三県の弁護士会に所属しています。金沢大学法科大学院の基本理念である地域に根差した法曹教育の成果があらわれていると思います。金沢大学法科大学院には「紛争とその法的解決Ⅰ・Ⅱ」という北陸三県の弁護士がその実体験を踏まえてオムニバス方式で行う授業があります。また,北陸三県の法律事務所を対象としたエクスターンシップもあります。エクスターンシップは,法曹に対するモチベーションを高める絶好の機会だと思います。このように,金沢大学法科大学院では,北陸三県を中心とした弁護士と交流する機会が多く,その交流がきっかけとなって就職につながった例もあります。

私にとっての金沢大学法科大学院

 私は,社会人かつ妻帯者でしたので,法科大学院の入学にはリスクと不安がありました。しかし,今では,法曹の道を諦めなくて良かったと思います。諦めていたらきっと後悔していたと思います。私は,遠く離れた場所にある法科大学院で勉強することはできませんでした。金沢法科大学院がなければ,法曹の道を断念していたと思います。私が弁護士になれたのは,家族などの周囲の支えもさることながら,金沢大学法科大学院が存在したからです。恵まれた環境で法曹を目指すことができたことに感謝しています。